役職定年制度というものを採用している企業があります。役職定年とは企業の役職者がある一定の年齢を迎えると、一旦雇用を解かれて再雇用される制度です。
この制度をご存知ない方は意味がわからないかもしれませんが、会社で頑張って部長になった人が55歳あたりになると一旦雇用を解かれるのです。そして再雇用される道はあるのですが給与が70%ぐらいになります。そして部長でもなくなります。
これ普通に聞くと酷い制度だと思いませんか?
企業側からすると酷い制度というわけでもない
企業としては課長、部長などで55歳になった人はあまりパフォーマンスが出ていないと見ていたということです。これは何となく当たっていると思う若者もいるかもしれません。
どんな会社でもあの部長何やってんの?みたいな人は一人や二人はいると思うのです。そういう人は一旦再雇用で給与が下がるというのは妥当な感じがしますよね。ただ一律その制度で処遇するのはいかがなものか?という意見もあるかと思います。
企業側の事情としてはそのレンジの人の給与水準が高いために、その人たちのパフォーマンスと比較して給与水準を見てしまうと多少の犠牲はあっても一律一旦退職、再雇用の方が会社にとってメリットが大きいと考えているということだと思います。
加えて若い人にポストを用意できるというメリットがあるのも否めません。
役職定年を廃止する会社も増えてきている
ただここ最近、役職定年制度を廃止するNECなどの企業も増えてきているのです。役職定年制度を採用するとその後再雇用した人は、役職は無くなる、給与は下がる、部下はいなくなる。これでやる気を出せという方が難しいわけです。この経済損失は1兆5000億円に上るそうです。
役職定年による経済損失を考えれば、役職定年に変わる制度を考える必要があると考える企業が出てくるのは当然の流れです。
そもそも適当な日本のマネジメント
私が今までサラリーマンとして働いてきて、自戒を込めて申し上げますとどんな評価制度であっても評価を完全実力という観点で行なっている企業は少ないです。
単純に上司に気に入られている人が引き上げられる。これが日本の実態です。そんな世界なら当然管理職で55歳を迎えたら働かなくなります。
ただこの役職定年制度の不思議なことがあります。そもそも役員って60以上の人がやってませんか?という話です。実はこの役職定年制度は役員になっている人は除外なのです。
日本の企業で役員になっている方は当然実力のある方がなっていることもありますが、全員が実力があるから役員になったとも言えず、やはり一定数社長に気に入られているから役員になったような人もいるはずです。
たまたまラッキーで役員になった人はそのまま続けられて給与も上がるけど、部長までだった人は給与が下がるというのは不公平感を感じます。
ポイントはジョブ型への移行
結局のところ日本は今までどんな制度を採用しても年功序列感が抜けず、必ずしも実力主義で出世するという世界ではなかったのは事実です。ただこれは私見ですが、ここにきて徐々に日本が欧米化してきており、仕事に人がつくというジョブ型に移行してきているのです。
当然ジョブ型に移行すれば、その仕事をやりきれる実力があるのかどうか?という観点でその人を評価せざるを得なくなります。一律年齢で役職定年という世界はそろそろ終わりを告げようとしていると思います。今の役員が怠慢でなければですが・・・