私が初めて転職したのは40歳の時でした。その当時は転職は30代がギリギリと言われていたのです。要するに40代の転職は厳しいからやめるべきという意見が大半だったということです。

私は40歳に転職後、もう1度49歳で転職をしています。正直40歳の転職よりも体力面などで厳しいと思うこともありますが、基本的に楽しく仕事をすることができています。

では40代の転職は厳しくないのか?というとこれは転職に対する考え方によると思っています。

40代の転職で確実に失敗する考え方は?

40代の転職で確実に失敗する考え方は、現状に大きく不満がありそれを転職で逆転してやろうという考え方の人です。

そういう人は大抵給与面で魅力的な業界に何も考えずに飛び込もうとする傾向があります。今で言えばIT業界、コンサル業界などになんとかして入ろうとします。

IT業界コンサル業界を目指してはいけないとは言っておりませんが、待遇面の逆転を目指してとにかく入社してやろうとするとかなりの高い確率で厳しい状況に追い込まれます。

私が見てきた生々しい転職失敗事例

私は採用する立場でもありますので、何人かの転職失敗事例を見てきております。あなたには転職失敗をしてほしく無いので、いくつかの事例を紹介します。当然一部には脚色が入っておりますのでご了承ください。

事業会社で管理部門で活躍していたらしいAさんの転職

事業会社で管理部門を何社か渡り歩いてきたAさんがIT会社への転職を希望しておりました。管理部門ではいくつかのプロジェクトを任された実績があったようです。そしてわずかながらも管理部門でのシステム構築の経験があると主張していました。

IT会社側は業務知識はそれなりに適合するものの、IT経験が乏しいということで現状よりも若干低い金額の提示をして、その条件であれば内定を出すという判断をしました。

Aさんは最終的にもう少し提示をあげてくれないかという交渉をエージェント経由でしてきたのですが、IT会社側も人材不足ということもあり、その金額アップの条件の半額を落とし所として再度条件を提示しAさんとの合意がなされました。

その間Aさんは当社の給与制度、実際の賞与月数をかなり念入りに質問してきたのですが事実ベースで誠意を持って回答を続けました。

そして入社。
コロナということもありオンラインでの仕事が多く、入社日は出社でしたが翌日からはオンラインで仕事をしてもらうことになっていました。数日後IT素養がほぼ無いということが判明しました。

本人とも話しましたが、特に問題がなくキャッチアップできると話していましたが、完全に目が泳いでいる状況でこれはまずいかもしれないと感じました。

2週間後、Aさんから面談をお願いしたいと連絡があり応じたところ、この会社はオンラインで何も教えてくれない。当初の話と違うので退職したいとのことでした。

入社して1ヶ月以内という私の経験上最速記録でしたが、お互いにとって早めの方が良いだろうと考え退職に合意しました。

Aさんは40代です。おそらく前職での給与面で不満があったために若干無理をしてIT業界に飛び込んできたのだと思います。前職の情報を見るとなかなか平均給与の水準も高いとは言えない会社でしたので、伸びの期待できる業界に行きたかったのかもしれません。

でもこのAさんの中にも転職で人生を逆転してやろうという思いがあったように思います。

ある分野でのスペシャリストという触れ込みのBさんの転職

Bさんはある分野のスペシャリストということで入社してきました。私はこのBさんの面接には関わっていなかったので、面接時の詳細は認識していません。

入社後は同じ事業部に入ってきたことから、そういうスペシャリストなのねという認識ではおりました。ただ最初の頃少し気になったのが、社内で大きな声でこの会社は遅れているとか、もっと改善できることがあるということを大きな声で言っていた点です。

私はそれなりに転職者を見てきた経験があることから、仕事ができる人は比較的謙虚であるということを認識しています。すごく出来る人に限ってまだまだ自分は改善できるというマインドを持っています。

しかしこのBさんはことあるごとに自分の過去の実績などを大きな声で話すのです。まだ若い従業員などはそれを信じて”Bさん凄いですね!”となるのですが、私は正直怪しい空気が漂っているなと思っていました(私の性格が悪いのです・・)

そんなBさんがたまたま私が責任者をしていたクライアントのプロジェクトに参加することになりました。私は一応Bさんが自称スペシャリストと言うので、その仕事をお任せしておりました。Bさんプロジェクト参加後1ヶ月ぐらい経った段階で、クライアントの責任者から呼び出しを受けました。

当然嫌な予感はしていたのですが、君のところのBさんあれなんだ?何もわかってないじゃないか!とお叱りを受けることに。

Bさんに事情を聞くと、これもよくある話なのですが、クライアントが悪いと主張。その時点でこの人やばいなと思った私は、その当時の上司に相談しBさんの交代を決定しました。その後のフォローにやたらと時間を取られたことは言うまでもありません。

Bさんはその次のプロジェクトでも同じ様子だったようで、今度はバックオフィスへの異動を申し出たようです。でもその時Bさんの噂は会社中に知れ渡っていたのです。なんせ大きな声で話すわけですから・・・

バックオフィスも受け入れを拒否し、Bさんは退職をすることになりました。このBさんも40代です。おそらくこのBさんは過去の会社でもうまくいかなかったけれど、環境さえ変えればなんとかなると逆転を狙ったのだと思います。

転職での一発逆転はほとんど無い

転職活動というのは徐々にステップアップしたいとか、自分の足りないスキルは認識した上でそれを身につけるために転職したいといった目的が明確な人にとってはとても良いことだと思います。

またごく稀にいる非常に能力の高い人にとっては一発逆転があるのも転職活動です。しかし一般庶民の人にとっては、ほぼほぼ一発逆転は無いと思った方が良いです。

まして40代であれば家庭もあると思いますので、転職するのであればどの会社が自分の経歴を活かせるのかをじっくり考えた上で活動する必要がありますね。